ベカオースター

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者のベカオースターのレビュー・感想・評価

4.0
前置きとして、ノーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダがカプリ島に亡命した史実に基いた映画「イル・ポスティーノ」でアカデミー賞ノミネートの主演脚本のマッシモ・トロイージは撮影終了12時間後に逝去した悲話があります。学の無い郵便局員が恋文を書く際に師となる詩人が比喩の重要さを説く感動作です。で、本題のコレその前日談(45〜46歳位時期)で、労働者や貧困者の人権を守る為に戦ってきた偉大な詩人の政治犯ネルーダを追う警官役がガエル・ガルシア・ベルナル(映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」でマチュピチュ遺跡で兵士にネルーダの詩を朗読し鼓舞したチェ・ゲバラの青春を演じ、ニューヨーク・タイムズ紙の21世紀最高の俳優25人に選出された役者)です。まあ、サスペンスを期待すると面白くないけれど、英雄像の裏に酔狂で俗世間的な顔を持つ詩人の逃走劇と警官の追走劇の真実と虚構が混ざりながら、創作に飲み込まれて行くマジックリアリズム展開の不思議な魅力があります。ボロボロになるまでネルーダ詩集を携え愛読してきた我が身には大いに刺さる映画でした。