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ペット 檻の中の乙女のMikiMickleのレビュー・感想・評価

ペット 檻の中の乙女(2016年製作の映画)
3.1
2016年シッチェス・カタロニア映画祭 脚本賞受賞。
監督は『アパートメント 143』のカルロス・トレンス。
脚本は『ファンタスティック フォー』『ラザロ・エフェクト』、ドラマ版『エクソシスト』のジェイミー・スレイター


時給9ドルで動物保護センターで働くセス。可愛がってきた動物たちが刹処分される日々。同僚にも友達はいず、孤独な日々。
ある日、高校の後輩で人気者だったホリーにバスの中で会うが、ホリーはセスの事は全く覚えていない。SNSで彼女の趣味や好みを調べあげ、彼女の職場のダイナーを訪れるも、会った事すら忘れていて邪険にされてしまう… そしてそんな中で偶然手にした彼女の日記…
セスがとった行動は、帰宅した彼女を拉致し、職場の地下に作った檻に入れて、監禁・そして飼育する事だった… 彼女を救うために…


セスの気持ち悪さ、ストーカーの恐ろしさを見せる前半。
よくある監禁ものと思いきや、
中盤からはなかなかの違った展開をみせてくれる。

サスペンススリラー要素の強いホラー。
もしくは、その逆。

ネタバレ故に何も書けないけれど、一言でいうならサイコパス。
セスが自分に好意を持っている事を逆手にとり、ホリーの巧みな戦術が徐々に出てくる。どちらが優位に立つのかというパワーバランスがありながら、
それだけではない展開があり、久しぶりになかなか面白い監禁ものだった。

それぞれの人間性をきちんと表し、どこかしらに切なさと同情の隙間を与えつつ、その上で狂気性をみせる。
セスを演じるドミニク・モナハンの気持ちの悪さも、ホリーを演じるクセニア・ソロの怪しげな美しさと謎も、どちらも快演。
動物保護施設が舞台というのも良い設定。叙情的な面でも、ラストの餌面でもw


人が人を愛するという事の中には所有欲もあり、依存もある。
そして、時に愛の方法が間違っている事もある。そんな間違った愛で誰かを救おうという気持ちには、自己満足しかない。
やっぱりストーカーはダメよ、絶対‼‼‼


個人的には、爽快さと気持ち悪さとおぞましさと愉快さがあるような作品でした。
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