MikiMickle

アニー・イン・ザ・ターミナルのMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.0
「ワールド・ウォーZ」などの助監督を務めたヴォーン・スタインの初長編映画

ロンドンのとある古びたターミナル。その奥深くに深夜ひっそり佇むダイナー。そこで働く魅惑的なウェイトレスのアニーには、別の顔があった。
ダイナーを訪れた一見なんの関わりもない客たちは、何か関係しているのか。彼らは何故ここに現れたのか…… アニーとは何者なのか……

というクライムサスペンス群像劇。

まず、主演アニーを演じるマーゴット・ロビーの魅力。「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クインのイカれた感じに、謎の魅惑さ妖艶さがプラスされてる‼ 七変化も見どころのひとつ‼あんなマーゴット、こんなマーゴットがいっぱい‼マーゴットのコスプレ映画かっ(笑)とも思えるが、イッちゃってるキュート感はやっぱり好き♡ サイコさんが上手いんだな。
今作は自ら立ち上げた会社でプロデュースもしたそうで、自分の魅せ方をよくわかってるなと感心する(笑)

脇を固めるのは、
・死期が迫り悩む国語教師を演じるのは大好きなサイモン・ペッグ。彼の良さは15%位しか出てないけれど、変態感とマーゴットとの絡みも2人のイカれた妄想シーンは良かった。サイモン・ペッグは、結局何をしても可愛いおじさんだな😂
・暗殺者コンビのデクスター・フレッチャーと、マックス・アイアンズ(ジェレミー・アイアンズの息子)は、それぞれに個性を出し、荒々しさと緊迫感とユーモアと恋などをみせる。特にデクスター・フレッチャーの悪〜いブリティッシュチンピラ感はいつもはまり役だと思ってる。老いてもなお‼ 今作でも口の悪いクソオッサン感が渋くてクソで最高っ‼ (余談だけど、「ボヘミアン・ラプソディ」でブライアン・シンガー監督が色々あって途中で降板されたあとにメガホンを取ったのは彼よ‼)
・足の悪い駅清掃員のマイク・マイヤーズはいつでもマイク・マイヤーズだ(笑) 何しててもマイク・マイヤーズだw

そんな5人の話。

正直な所、ストーリーとしてはちょっとな……と。
異色のスタイリッシュクライム群像劇というものは、タランティーノとガイ・リッチーという鬼才によってあっという間に確立されてしまっているので、これを崩すのは本当に難しいと思う。
大どんでん返しはあるにしても、ストーリーはイマイチだったな(笑) 言いたくはないけどさw

が、個人的には見ていて楽しかった部分もかなり多かった。
1番好きだと思ったのは、世紀末や近未来を思わせるような異世界空間と、廃墟的建造物。その中で一際際立つ色とりどりのネオン。原色の多用によってそのダークさといん猥さを際立たせる映画はいくつもある。その三番煎じ感は否めない。が、この雰囲気はやはり好き。二番煎じだろうと三番煎じだろうと、関係なく心惹かれる絡み合う鉄骨や、誰もいない片隅の謎のダイナーも、胸をときめかせる…… 他のものを寄せ付けない閉ざされた空間は、虚無さと不安感を魅せる。
ロンドンが舞台である事を忘れるような異世界感は、見なくてはわからない不思議な空間に満ちていて。この場所に行きたい行ってみたいと切に思う。クールなフィルム・ノワールを纏う、過去とも現在とも未来とも言えない異世界観が上手く描かれていた。姿を変える魅惑的なアニーが一体どんな目的で?と気になったら、怪しげなネオンと廃墟の美しさが気になったら、見てみても良い作品だと思う。
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