ひろ

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのひろのレビュー・感想・評価

3.6
クレイグ・ガレスピー監督が「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の中心人物トーニャ・ハーディングの半生を描いた2017年のアメリカ映画

大好きな映画「ラースと、その彼女」のクレイグ・ガレスピー監督、トーニャ役はノリに乗ってるマーゴット・ロビー。さらに題材がリアルタイムで知っていて記憶にも残っている事件なんだから興味津々である。知ってる事件の映画化ってバラエティの再現VTRみたいにならないか心配になるけど、そこは腕のある監督なので、面白く仕上げている

母親からは言葉の暴力、夫からはDV、そんなトーニャ・ハーディング。忘れられない泣きながら靴紐切れたねんアピール。当時はケリガンが悲劇のヒロイン。トーニャは自業自得みたいに報道されていたし、そのまま鵜呑みにしてイメージが悪かった。でも辛い経験をたくさんしながらオリンピックまで行ったんだから、すごい選手だったのかな。アメリカ女性初のトリプルアクセルも成功したし。少なくともこの作品を見ると少し同情してしまう

しかし、この作品には問題がある。当時の事件の当事者達からインタビューしたりして物語を描いているわけだけど、それぞれの主張が違うので何が真実か全く分からない。当時の記者達はトーニャは本当にイメージ悪かったと言ってるし、もはや真実を知る人はいても誰だか不明。トーニャの半生を描いているのだがら本当がどうか、信じるか信じないかはあなた次第ということ

トーニャ役のマーゴット・ロビー。最初はお色気、その後キャラクター。それだけの女優かなと思っていたら、演技力が一気に開花してます。不安定な精神のトーニャを好演。夫のジェフ役のセバスチャン・スタン。どっかで観た顔だと思ったらウィンター・ソルジャーか!気づかなかったわ。トーニャの子供時代を演じたマッケナ・グレイス。この子役かわいらしい。キャプテン・マーベルの子供時代もこの子。天才子役ってやつだね

第90回アカデミー賞で助演女優賞を受賞したアリソン・ジャネイ。キャリア豊富なベテラン女優さん。トータルの出演時間は短く感じるけど、荒々しい母親ラヴォナの演技は圧巻。本当に腹の立つ親だ。トーニャがグレていたとしても仕方ない。そう思えるぐらいのインパクトのある演技

真実はどうあれ、あの事件は記憶に残る事件だった。記憶に残る事件が映画化してるってなんか年取った気分。これからも何かしら知っている事件などが映画化するんだろうなあ。関係ないけど志村けんは映画化して欲しい。ドリフごと
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