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クルエラのlptsのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
4.3
「世界観」

世界観の構築に関しては、近年の映画の中でもトップクラスの出来だと感じた。衣装、メイク、舞台と、画面に写るすべての要素のクオリティがとても高かった。ここまでハイクオリティな画面の連続を映画館で見ていると別世界に放り込まれたような感覚におちいる。この感覚こそ映画館に行く意味だと思っているので、劇場で見て良かったなと心の底から感じる作品だった。

「調整力」

ディズニーヴィラン実写第1段となった"マレフィセント"に比べると良い意味で軽やかな作品だった。"マレフィセント"は政治的メッセージやポリコレにあまりにも振り切りすぎたと思っていたので、第2弾ではうまくその部分を調整してきたなと感じた。このディズニーのバランス力と調整力は流石としか言いようがない。

しかし、これは"マレフィセント"がアクセルを踏み込み過ぎた作品だったのでしょうがないと思うが、本作は"マレフィセント"の反動を受けてブレーキをかけ過ぎ、ややメッセージ性に欠ける印象を受けた。"クルエラ"という最高のキャラクターを活かしてディズニーがどんなメッセージをぶち上げるのかは続編に期待したい。

そして、"マレフィセント"と比べて脚本も抜群に良い出来だった。ヴィランの誕生譚は観客に説得力を持たせるのが一番の難所だが、本作はこのハードルを見事にクリアしていた。

「ハマり役」

本作のエマ・ストーン演じるクルエラは、マーゴット・ロビーのハーレイクイン並みのハマり役だと感じた。ハーレイクインを見たときも思ったが、コスプレ感を感じさせない彼女たちの役者としての存在感は本当にとんでもないと思う。服に着させられているという感じは全くなく、実社会ではほとんどありえないような衣装を完全に自分のものとして着こなしていた。
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