140字プロレス鶴見辰吾ジラ

名探偵コナン から紅の恋歌の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.8
”バーニングオーシャン”

昨年、久々の劇場版コナン鑑賞。
そのときの予告にて競技かるたがメインギミックになると発表。
昨年の邦画の奇跡のトップバッターとなった「ちはやふる」が想起され
「舐めとんのか!?」
と喧嘩を売られたような感覚から鑑賞を決意。
予告にて本作のクイーンであろう大岡紅葉のセリフに
「舐めとんのか!?」
と再び喧嘩を売られたような感覚に襲われ、割と真面目に劇場へ。


劇場版名探偵コナンシリーズは劇場尺で行われるミステリーのむずかしさという壁に当たった結果「ワイルドスピード」に相当する冠だけとったのちにシリーズとしての強みを生かしたアクション大作へと娯楽側へと大きく舵をきっている印象。ここ最近のコナン映画を監督している静野孔文さん自体もアニメという土俵にてハリウッドのアクション大作への挑戦をしようとする気概が感じられ期待を毎度してしまっている。

本作「から紅の恋歌」に関しては昨年の「純黒の悪夢」の大味すぎるアクション描写ではなく、サスペンスにしっかりとしたミステリー要素を込めて、中盤~終盤にかけて二転三転するジェンガを楽しむような切り口で進められていることに感心した。コナンくん含めアクション描写の科学考証に関しては多少は目をつむるが(笑)、過去作(映画、TVシリーズ含め)へのオマージュや、中高生から大人に向けてのギャグ描写の細かさにしてやられた感はある。(コナンの携帯の予測変換ワードや、少年探偵団の被せ気味の和葉へのセリフなど)

本作で驚いたのは従来ならばクライマックスに持ち寄られる爆破描写と脱出劇を冒頭の掴みに入れてきたところ。平次×和葉のラブストーリー(実質、和葉の最終章になる危惧性)としているため、コナンくんの知恵を持ってのアリエナイ脱出アクション描写を序盤部で解放してしまったのは正解だと思う。今回も数々のハリウッドアクションに先駆けた「インターステラー」をほんの少し想起させる重力ターンをギミックにしたのは驚きだった。おそらく「ワイルドスピード10」でパクられるのでは?と淡い期待をしてしまったことを告白する。

競技かるたがメインギミックゆえに去年の「ちはやふる」の二番煎じ感は否めないし、今作のクイーンポジションの大岡紅葉は、「ちはやふる」のクイーン役の松岡茉優の予想だにしない存在感からすれば数段落ちてしまうのだが、あくまで和葉のライバル役としての機能性に加え、嫌味をギリギリ感じない程度のヒールキャラとして据えられたのは大きかった。ちなみに平次のセリフから巨乳であることが示唆されるが、それ以降の胸部の描き方に頭が下がる思いも感じてしまった。正直、競技かるたの描写に関してはアニメーションで勝負という感覚はまるでなかったが、終盤に向けて二転三転しながらアクション描写さながらに崩落していくような種明かしは見応えあり。名探偵コナンのTVシリーズでの人魚のエピソードを知っている長年のファンに対しては超ド級にぶち上がるセリフがあったり、「天国へのカウントダウン」を見てらっしゃいますよね?と少々鼻につくもアクション描写のこだわりと外連味の放出点として文句のないクライマックスに仕上がっていた。

そして何より、”遠山和葉”の最終戦という危惧をはらみながら(声優の宮村優子さんの状態的に)、ある種ラストチャンスに賭けたいという思い(私自身、遠山和葉は作中でトップランクに好きなキャラである)も含め、気概ある気合あるワンシーンの積み重ねはエネルギッシュであることに違いない。昨年のこの時期と違うのは、遠山和葉→宮村優子に絡みつく思いの糸が今現在より強くなっていることもドラマチック。

最後に、ワイスピやXXXやダイハードも含め、アクション描写へのアニメ土俵で挑戦する静野監督の平次のバイクアクションでのGopro的なカメラワーク描写も含め、次作に期待したい。アニメアクションでのハリウッドへの挑戦とも思える作中日売TV局内のあるポスターの目にノイズ的に入る描写から、その気概(勝手に思っているが・・・)に期待感ももらってしまった。


和葉可愛い~
関西弁女子可愛い~
嗚呼、可愛い~