再鑑賞
監督の河瀬直美が撮る自然の風景やカットの美しさに毎度驚かされる。生命の神秘とそれにリンクする自然の映像に魅力された。
ドキュメンタリーっぽいけどドキュメンタリー以上のものを感じさせられる何かがあって、それを言葉で表現するのはちょっと難しい…
弱視の人達の視線を再現したカメラワークだったり、光のない闇の世界だったり。
芸術的だし高尚だけどそういった言葉では済ませられないなと思った。
光ではふんだんにそれらが使われていてよかった。夕陽、影、そしてラストにおける光。
ストーリーにも惹かれた。元々音声ガイドという職業は知っていたけど、映画における音声ガイドの内容ってこんな風に完成していくのか と感心した。
視覚障害者の人達に、映画を観せる事の難しさ、それに必要とされる創造力。
言葉一つで風景が消えるし、現れる。
自分も徐々に視力を失っていくかもしれないし、両親のどちらかが認知症になってしまうかもしれない。
二回目はそんな事も少し考えながら見てみた。
ゆっくりだけど確実に視力が失われていく恐怖や、年老いて全てを忘れてしまうかもしれない両親の事を想像すると肌で恐怖を感じた。
映画における台詞や間の大事さを実感させられる。
「私たちは映画を観ている時いつの間にか映画の中にいる。」
「1番大事なものを捨てなきゃいけないなんて、辛すぎる。」
厳しい事を割とはっきり言ってしまう(表現してしまう)監督のストレートさが好き。
でもそれがあるからこの映画のラストの点と線が繋がった感じとその時の感動が大きいんだなあ と思った。
ラストシーンは目を瞑って見ても風景が自然と浮かんでひたすら感動した