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ゲット・アウトのtthkのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.0
この映画、とてもおもしろかったです。特に、作中でPCやモバイルが出てくるのですが、それが全てアップル製品ではなかったところに目が行きました。なので、「アップルはこの作品に自社製品を提供することを拒んだ」という仮説を立てて見てみたのですが、いくつかおもしろい点が浮かび上がってきました。

まずこの映画は、作中で運輸局のお友だちが言っていたように、『アイズ・ワイド・シャット』の意識(地上)/無意識(沈んだ地、地下)の描写方法を用いて、現代アメリカ・ホワイトの深層にある差別意識を描いたものです。
そしてこの映画によれば、その差別意識もまた複雑で、白人は黒人を劣ったモノとして見ている一方で、黒人は白人の羨望の対象でもあるようです。白人は黒人より身体的には劣っているが、頭脳は優れている、そうです。
その結果、黒人を洗脳して身体だけを頂戴し、その黒人の身体に白人の優れた頭脳を搭載させる(いいとこ取り)、という案が白人の優れた頭脳による成果です。
がしかし、黒人はその洗脳を克服する頭脳を持ち合わせていたために、白人案より優れたプランを創出し、白人をボコボコにする、というものです。

こう見ると、アップルの企業イメージとはそぐわないと感じる点が多々ありました。
まず、差別撤廃を目指すアップルとしては、黒人が白人をボコボコにする、といった暴力的解決よりも、平等的かつ平和的な解決を望みそうな気がします。結果として黒人が勝ったのでは平等的解決とは言えなさそうです。
次に、ローズの父親のファッションです。黒のタートルネックで、白髪で、メガネで、シャープな体型…。というとスティーブ・ジョブズを想像してしまいました。ともすると、洗脳を試みる家族の父親がスティーブ・ジョブズに似ているともなるとアップルとしてはたまったものではないように思います。

少しうがった見方でしたがおもしろく見ることができました。
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