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ザーヤンデルードの夜のkonomoのレビュー・感想・評価

ザーヤンデルードの夜(2016年製作の映画)
3.8
検閲でカットされた上で上映禁止になり、何年も失われていた作品。それが救い出され、短く、音声も所々無声にされた状態ながら日の目を見た、その事実にまず打ちのめされる。

とある父親と娘の、イスラム革命前、その最中、数年後を描く。移り変わる社会と人々。

父親が、政権云々よりもまずイランの文化の根底にある暴力性を問題視していて(つまり政権がどうなろうとそれがなくならない限り悲劇を呼ぶ)、で、舞台のひとつである病院ではしょっちゅう自殺未遂者が担ぎ込まれ(ここの部分は喜悲劇的)、人々がすぐに絶望する様も描かれており、つまり直情型なのかなぁとか。
とはいえ怒ったり絶望したりシンプルなようでいて、社会の流れに沿って行動を変えたり、人を信じなくなったり、助け合わなくなったり。
かと思えば社会なぞ関係なく人は心変わりしたりぐるっと回って戻って来たり。

ねえねえどうして?どうすれば?という監督の若々しい問題提起が眩しかった。
カットされた部分はどんなだったのか、何を言っていたのか、いつか分かる時も来るかな。
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