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ライフのkuuのレビュー・感想・評価

ライフ(2017年製作の映画)
3.6
『ライフ』映倫区分PG12
原題Life
製作年2017年。上映時間104分。

国際宇宙ステーションを舞台に、火星で発見された生命体の脅威に直面した宇宙飛行士たちの運命を追う米国産SFスリラー。
マーベルは否定してるけどストーリー性から『LIFE』で採取した地球外生命体の細胞ちゅうのが映画『ヴェノム』なんちゃうん?ってファンの間でウワサになってたそうですが、頷ける。 
ただ、今作品は『エイリアン』(1979)に触発されたのはマーベルも認めてる事実っす。

お話は、
世界各国から6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集結。
そして、火星で採取された地球外生命体の細胞を極秘調査することに。
まさに神秘としかいいようのない地球外生命体の生態に驚がくする彼らだったが、細胞は次第に進化と成長を遂げ高い知能を誇るようになる。
やがて地球外生命体に翻弄され、宇宙飛行士たちの関係が揺らぎ始める。。。
本作が斬新的でしかも面白いのは、活性化した初期のカルビンくんの可愛らしさと、クルーとの交流・意思の疎通があった?様に描いていながら、両者が生存のための殺し合いになだれ込んで行く原因が、きちんと描かれている点だろう。

過去の類似作品やB級モンスター映画の様に、敵や怪物が元々意思疎通不可能なモンスター、凶暴で人間を食い物としか見ない化け物としか描いていないのに対して、本作には人間側のミスによる誤解と、命を奪うことや命を自分たちの物として所有しようとする愚かさを描いて、視点を変えるとまた全然別の物語が楽しめる様になっているのだ。

例えば、本作を異星生物であるカルビンくんの視点から見てみよう。いきなり自分の星から採取(カルビンくんにとっては拉致!)され、勝手に成長させられた上に、クルーの不注意から命の危険に晒されたので、冬眠状態になって自己防衛したら、いきなり電気ショックですよ!そりゃ自分の命がヤバイ!と思って相手に噛み付くのもムリは無い。

残念ながら、この時点で人類は完全に敵として認識されてしまったわけで、つまり争いの原因は完全なコミュニケーションの断絶。と同時に、当初は自分たち主導で上手く行っていたかに見えた関係が、ちょっとしたボタンの掛け違いによって、泥沼の全面戦争に突入する過程は、正に現在の中東情勢の象徴と言えるかも知れない。

地球人だろうとエイリアンであろうと、命があって「生きたい!」という生存本能があるなら、そこに変わりは無いはず。

実はここも本作の斬新な試みであって、最後の最後までもつれた生存競争が、遂に迎える衝撃のラスト!この鑑賞後の何とも言えない複雑な気持ちと絶望感こそ、本作を単なる「エイリアン」もどき映画や「モンスター退治映画」として、後味スッキリ爽快!なエンタメ作品にしていない要因なのだ。

こうして考えると、タイトルの「ライフ」とは地球人クルーとカルビンくん、両方の命の重さを表現した実に見事なタイトルだと思う。

その衝撃的なラストシーンも、カルビンくんにとっては更に人間から追われて攻撃される訳で、決して単純なバッドエンドでは終わらない、実に深い余韻を観客に残すことに成功している。

果たして悪はカルビンくん側なのか、それとも勝手に火星にやって来て命を持ち去ろうとした人間側なのか?これから鑑賞される方は、是非ご自分で判断を下して頂ければと思う。
真田広之、ライアン・レイノルズ、ジェイク・ギレンホールが出てるんかぁよー集めれたなぁ。
今作品は、ライアン・レイノルズに主人公目的製作を始めたそうやけど、『ヒットマンズ・ボディガード』(2017)とのスケジュールの競合で、代わりに、レイノルズは脇役を務めることを余儀なくされ、レイノルズのスクリーン時間は40分未満になったそうです残念。

真田広之、ライアン・レイノルズ、ジェイク・ギレンホールは、マーベルコミックに好かれとるんか、マーベル映画に三人とも出演してる。
真田広之は『ウルヴァリン』(2013)、『アベンジャーズ:エンドゲーム』(2019)に。
ライアン・レイノルズは、『X-Men Origins:Wolverine』(2009)、『Deadpool』(2016)、『Deadpool 2』(2018)に。
ジェイク・ギレンホールは『スパイダーマン:ファーフロムホーム』(2019)に。
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