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ジョルスン物語のほーりーのレビュー・感想・評価

ジョルスン物語(1946年製作の映画)
3.6
「お楽しみはこれからだ!」

世界初のトーキー長編映画『ジャズ・シンガー』で知られるエンターテイナーのアル・ジョルスンの半生を描いた音楽映画。主演はラリー・パークスとイブリン・キース。

厳格なユダヤ人の家庭に生まれた歌好きの少年エイサ・ヨルセンがひょんなことからショービジネスの世界に入り、やがてアル・ジョルスンと名乗ってブロードウェイの大スターになるまでをテンポよく描いている。

主演のラリー・パークスの歌は全て当時まだ存命だったアル・ジョルソンが吹き替えているが、パークスの熱演により口パクに全然違和感がない。

後半はイブリン・キース扮するのちに妻となる若手歌手(モデルはルビー・キーラー)とのロマンスが中心となる。

ラスト……一度はリタイアしていたが再び観客の前で熱唱するアルの姿を見て決心する彼女、それに何かを察したマネージャー役のウィリアム・デマレストとアルの父役ルドウィッグ・ドナスのふと見せた表情がいつまでも心に残る。

ちなみに文頭の「お楽しみはこれからだ」は本作や『ジャズ・シンガー』にも登場するアル・ジョルスンの名台詞でありますが、この言葉を日本で普及させたのは勿論先日亡くなられた和田誠画伯である。

エンターテインメントの世界に造詣の深かった和田さんだが、そのきっかけになったのがこの『ジョルスン物語』だという。

映画の名台詞を集めた和田さんのエッセイ『お楽しみはこれからだ』。僕もこの本に出会わなければ、そんなに映画好きにならなかっただろう。似顔絵なんて描くこともなかったろう。このFilmarksのレビューでの映画の知識や言い回しだってほとんどが和田さんの本からの受け売りである。

心より和田誠さんのご冥福をお祈りします。

■映画 DATA==========================
監督:アルフレッド・E・グリーン
脚本:スティーヴン・ロングストリート/ハリー・チャンドリー/アンドリュー・ソルト/シドニー・バックマン
製作:シドニー・スコルスキー
音楽:モリス・W・ストロフ
撮影:ジョセフ・ウォーカー
公開:1946年10月10日(米)/1950年9月22日(日)
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