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ガールフレンドの堊のレビュー・感想・評価

ガールフレンド(1978年製作の映画)
4.2
写真家を目指す主人公と詩人を夢見る友人の共同生活は、なんだかあっさりと友人の結婚宣言によって終わりを告げる。この映画はそんな『フランシス・ハ』のエンディングのような雰囲気からはじまる。主人公はインスタントな恋に絶望してばかり、でも懲りずに恋に生き、夢に向かってもがき続ける。家事に追われつつも書くことを諦めきれない友人の視点からはそれがたまらなく自由に見えてしまう。そんなどこにでもある風景をドキュメンタリー出身のクローディア・ウェイル監督はどこまでもが役者の素なのか判別できないほど複雑でリアリティに溢れた表情と動きを捉えたショットの連鎖によってつむいでみせる。饒舌な彼女たちの青春の日々を収めたマンブルコアの元祖のような今作にキューブリックが驚嘆し嫉妬したのも納得。正直ここまで面白いとは思わなかった。主人公が友人の代わりに住みはじめたヒッチハイカーの少女に向ける表情にリンクレイター作品の慈愛に満ちた視線を思い出す。
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