しゃぐな

大いなる遺産のしゃぐなのレビュー・感想・評価

大いなる遺産(2012年製作の映画)
3.0
ヘレナボナムカーターは妖怪かな( ・∇・)ミスハヴィシャムの醜悪で憐れなイメージそのままでとても良かった。
ヘレナボナムカーター、レイフファインズ、ジェイソンフレミングの渋〜い演技が若手を支えてる映画。

19世紀イギリス。
鍛冶屋のジョーの養い子で幼い義弟ピップはある日ひとりで両親のお墓参りに行き脱走した囚人と出会う。囚人に手錠を壊すためのヤスリと食事を持ってくるよう脅されて翌朝なんとか届けたピップ。
それからー数奇な運命と巡り合い、サスペンスフルなアドベンチャーと恋と成長の超有名超長編小説の何度目かの映画化。

ーネタバレ。
あの長編を2時間にーと思うと決して悪い出来ではないけど、この物語の肝であるだろう「大いなる遺産」とは?転がり込んできた(らしい)大金と紳士な暮らし、、、ではなく、それにより得た経験と結果の成長。最終的に自分を助けてくれた家族や友人の存在。まさかのエステラ?
少年から青年〜〜壮年期での主人公ピップの成長を追う冒険譚として見たときに、ピップ世代(ピップ、エステラ、ハーバート、ビッティ)に見た目の変化がなく、その成長とそれ故に醸し出される心情を追いづらい。
同じく義兄ジョーは最初っから初老な感じでビッティはお爺ちゃんと結婚したのかとすら思う。
もっと老けメイクとか若作り加工とか見た目の変化を丁寧に作ればいいのに。
あとエステラの女優さんが可愛くない。ビッティの方が断然可愛い。
ミスハヴィシャムの異様な出で立ちにだけ拘ったのか?と疑う。いやミスハヴィシャムはとても良かったけど。

恋した令嬢に近づくために紳士を夢見た少年に転がり込んだ匿名の遺産。そのおかげで憧れの倫敦での紳士暮らしを満喫するピップ。
誰にでもあるかもだけど、ロンドンの最先端に触れて故郷を野暮ったく養父で義兄のジョーを疎ましく思って蔑ろにするピップ。結局紆余曲折あって遺産のアテが外れて紳士生活よサヨウナラ♪残ったのはツケ払いにしていた多額の借金。払ったのは養父ジョー(;ω;)
まぁお礼は言ったし返すとかも言ってたけど、なんというかピップからジョーへの気持ち…ジョーがあの貧しい暮らしの中で貯めたお金に対しての有り難みやそれを義弟で養い子のためにと投げ打ってくれた尊い行動への感謝やそれをさせてしまったことそれまで蔑ろにしてしまっていたことや自分は何一つ持っていないことの悔恨、これからの再起の誓いのようなものを感じることが出来なくて「何このピップ、嫌でダメなオトナに育ったね」って感じ。だもんだから、エステラと結ばれても何の歓びも湧かないです。
結局、仕事はハーバートの会社で世話になり、なんだかんだでエステラも手に入れて、このピップとやらは何か自分で努力して成したことがあるのか?という残念物語になってた。
小説はピップ視点だから伝わる彼の心情も、メタ視点の映画では表側をなぞるだけになってた。本来は脚本や演技で補うんだろうけど、弱いというかもうダメダメ。
だいたい生まれが上流のハーバートだって働いてんのに棚ぼた紳士がただ遊び暮らしてたんだ…もっと己を省みろよ、と。
ピップとエステラはミスキャスティングだし、脚本も編集もイマイチだったという事になるかな。
ただ、ロンドンの黒と灰色の風景、夜のテムズの逃走劇、幸せが溢れて溢れそうなビッティはすごく良かった。
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