90年代まぎれもなく世界最大のバンドだったオアシスの、結成から伝説のネブワースライブまでの軌跡を描くドキュメンタリー。
兄弟仲の悪さやギャラガー兄弟のハチャメチャぶりは知っているつもりでしたが、この作品を見て自分がいかに"にわか"だったかを実感。
曲は別として、彼らに対する個人的な思い入れはほとんどない中で、名曲『Talk Tonight』の誕生秘話とか、最高アルバム『Morning Glory』のレコーディングのエピソードにはゲンナリしてしまった。もちろん、天才なんでしょうけど。
『super sonic 』なんてノエルに言わせると「俺が夜中の3時に書いた意味不明の歌詞」なんだそう…そうですか。
素行の悪さは書いたらキリがありませんし、リアムのやばさは「言わずもがな」なんだけど、それ以上にノエルの発言ときたらあまりにも軽率で、思わず顔をしかめてしまうほど。タチが悪すぎる。
まさにこのロックンロールを地で行く感じがクールなんだろうし、この破天荒さ含めてオアシスの魅力なのは分かるけど、ノエルとリアムが製作総指揮で関わっているからか、おれらすげー的なエピソードが目立って、言い訳がましく聞こえてしまった点が残念。
彼等の傲慢さはただのパフォーマンスと思っていましたが、この作品を見ているとただのイキがったに子供にしか見えなかったし、トニーへのイジメのエピソードで、あ。ちょっと無理かも。ってなってしまった。
音楽は最高です。これは間違いなく。
ただ、私と同程度のにわかファンがこの作品を観て、オアシスに魅力を感じるかと言われれば…どうでしょう。
なんだろう、勝手に心のどこかでもう少し繊細な一面を期待していたのかもしれません。
リアムの心酔するジョン・レノンもなかなかの過激さだったとは思いますが、彼等のそれとは違って見えるのはなぜかな。
多分、ジョンはあるタイミングから、自らの弱さや劣等感、トラウマと向き合い、ありのままの自分を飾らずに表現するようになったからだと思います。
父親のエピソードから、ギャラガー兄弟もその脆さは確実に持ち合わせているのだろうけど、40歳過ぎて関わったドキュメンタリーで、そういった部分に一切触れなかったのが、かえって当時の『最高の瞬間』にすがってるようで物寂しく感じてしまった。
リアムのカリスマ性、ノエルの楽曲作りのセンスは素晴らしい。
しかもこのエピソードが、はじめての契約書から約2年半の間に起こった出来事だというから、彼等は紛れもなく伝説のバンドだったと思う。
blurの方がイケメンだし、blurの方が品もある。
なのにどうしても惹きつけられるオアシスの魅力の理由はこの映画では分からなかったけれども、後半で垣間見えた、ファンへの感謝の言葉、企業にスピリットを売らない姿勢、これもまた彼等の本来の姿に思えました。
夜のネブワース、観客の声援、伝説のウッドストックフェスを彷彿させる、まさに奇跡のライブ!
リアム。そろそろお兄ちゃんに謝って、オアシスを再結成してくれないかな。
格好悪いこと言わず、ファルセットも使ってほしい。