ヒロ

ピノチェト・ケースのヒロのレビュー・感想・評価

ピノチェト・ケース(2001年製作の映画)
4.2
理想郷を追い求め続けた人民連合党首サルバドール・アジェンデから軍事クーデターにより政権を奪い、長きに渡る独裁を築いたアウグスト・ピノチェトのロンドンでの裁判を中心に追ったドキュメンタリー。

長時間の電気ショック、肉体的・性的暴行の数々、遺体さえ帰って来ず、挙げ句の果てに出生記録の改竄。生存する被害者達の口から次々と出てくる壮絶な過去の記憶。→「あれは共産主義者を駆逐するのに必要だった最小限の犠牲なのだよ」と高らかに語る自称ピノチェトの友人。→健康的な理由によりピノチェトが釈放されることを受け絶望する被害者達の集合画。→帰還する将軍を今か今かと待ち受ける大喜びの軍隊。
被害者→ピノチェト→被害者→ピノチェトとシンメトリーな構造の永遠ループに精神が崩壊しそうになる。

意識的に喪失された記憶の刻印と、今後の国際社会への問題提起。

「少しでも長く生きることが私たちにできる最大の復讐なんだ」

壮絶。

《パトリシオ・グスマン監督特集2017》
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