自家製の餅

ソフィー・マルソーのSEX LOVE&セラピーの自家製の餅のレビュー・感想・評価

3.4
原題は"Tu veux ou tu veux pas"

ソフィー・マルソー主演の映画は、邦題が「ソフィー・マルソーの〜」になりがちなようである。そして今作はセックスと続く...なんとも品のないマーケティング...(一体どんな会議でGOが出たのやら)

さて、本作の主人公である男女は元パイロットでCAとセックスざんまいだった過去を持ち、今は性依存症の会(アメリカ映画でよく見かけるパイプ椅子で円になって座って告白しあうもの)に参加する恋愛セラピストと、ふいに彼の仕事上のパートナーとなる、ソフィー・マルソー演じる取引先の男と寝まくっていたことからある企業のアジア支社で解雇されたアシスタント。

仕事上の相性は良く、女がベッドにも気さくに誘うが、男は拒み...という内容。好意があるから身体の関係も持ちたいという女に対し、過去の反省から手順を踏みたい男とのすれ違いと接近。
フランスらしいと感じたのは、セックスと愛(恋愛)といった二元論で図式化しない点。その境界がぼんやりしていて、形式付く直前でまた曖昧に戻される。大人のじれったさである。
「セックス依存症の〜」とか「トラウマにより〜」といったステレオタイプも控えめ。くだらないタイトルのラブロマンスで、たんにソフィー・マルソーを愛でる映画に止まらない魅力を感じた。

これぞ個人主義なフランスの大人の恋愛なのかはさておき、いわゆる大人の恋物語を期待するとズッコケるどころでなく駄作にしか見えないはず。フランス人がどう観るのか気になる(とはいえさほど良いとは思えないが)。

ジャン=ピエール・マリエールが本人役で出演。日本のウィスキーとしてニッカを注文する。妻がいないとなにしていいかわからないんだという爺がかわいかった。