140字プロレス鶴見辰吾ジラ

傷物語Ⅲ 冷血篇の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

傷物語Ⅲ 冷血篇(2017年製作の映画)
3.5
アララギ・プラン

待たせに待たせた「物語シリーズ」のプリクエル。
ピープルvs西尾維新(新房監督)。
「傷物語 エピソードⅢ:おっぱいもみもみしてください!」

”地獄への道は善意で舗装”とよくいいます。

出会い:君は四肢すらなく蠢くだけだった。
契約:キスショットさんのロリカッケーあどけない歩み。
共闘:闘いの中で成長していく君。
終末:君は有翼となり大陸間すら飛翔を可能とした。

クライマックスの行き過ぎたバトル描写は圧巻というよりもコメディックでしたね。劇場版だからこそのクオリティというのもあるのですが、アメコミ、いわゆるMCUやDCコミックにあるような超論理的なバトル。頭を拳で飛ばしあうというエクストリームなバトル描写と疾走感に・・・

いや・・・でも今作の白眉は体育倉庫の阿良々木暦vs羽川翼のシーンですね。
神谷浩史vs堀江由衣の演技合戦に加え、細かいディティールにて真摯に勝負した描写のサービスカットとセリフの応酬。
「何でこんなところに全力投球?」
というところに感じる変態チックな美学的要素云々カンヌンが一番琴線に触れてしまったわけです。

アニメシリーズでの、わけにわからん駄話をちょいちょい挟むくらいの温度の物語シリーズとは一変しての劇場版でしたので、このエロシーンからのクライマックスは中々ハード。

本来、葬るべき相手に対してのアララギ・プランの愚行加減も含めて、彼の人間強度が上がった=成長したのだと春休み明けの登校描写と忍野忍としてのキスショットとの疑似キスシーン描写の切なさを噛みしめるわけでした。

幸福の拡散と不幸の共有という最終的にエゴと主観でしかないオチのつけ方は嫌いじゃないですし、少し大人びて核による均衡だとか原発の冷却化だとかまでいろいろめぐらせながら、人は傷を背負って誰かと生きて幸せになるんかな~と遠い目をして考えてしまった作品でした。

東京オリンピックの実況シーンや日本の国旗が悍ましいくらい映っているカットなど印象的。あとはシリーズ通してファーストカットの実写感による引き込みは大変見事でした。