ねぎおSTOPWAR

ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

3.8
皆さんの周りで起こるちょっとしたイザコザやら諸々ありますよね。
仕事のことや家族の行き違いとか。

そういうのってたいてい自分の側からの主張を繰り返しても仕方なくて、相手の立場に立って考えたりね。

昔の出来事を理解するのも同じですよね。
例えば「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」なんてすごくハッキリした例?
その他にもね、だいたい欧米中東なら冷静に両者に想いを馳せる。

・・なのに近現代の日本が関係する歴史となると急激に近視眼的になる方が増える昨今。
中高で教える先生の腰が引けてるからそりゃ仕方ないんですけどね。
日中韓三国の歴史学者たちが懸命に作り上げた共同の歴史書あるの知ってます?

『未来を開く歴史 東アジア三国の近現代史』

ドイツとフランスなどもこのように共同で作っています。
どうしても折り合えないところはそれぞれのことが書かれていますけど、素晴らしい本です。
学校はこの本使えばいいんですよ。

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さてさてこういう話は嫌われるわけですけどね、でも逃げてちゃダメだと思います。

日本統治時代のお話です。36年にもわたり抑圧してきた事実は、鉄道作ってあげたとか、名前を欲する人がいたとか、そんな些末な弁解で消せるものではありません。
この映画でも出てきますよ、親日朝鮮人が。
韓国の映画製作者が大人というか賢いなって思うのは、いわゆる映画内の"敵"を日本人にしないこと。このところ観た他の映画でも書いたかもしれないけど、同じ朝鮮人でも、日本サイドで動いた人いるので、その人との闘争にしてる。

今回は長く続いた王族、李王朝のまさに最後を描いています。ラストプリンセス。
日本統治時代には位置づけや名称も違え、高宗(コジョン)が初代皇帝。その娘 徳恵(トッケ)の数奇な運命です。
胸が張り裂けそうになるのは、大韓民国が興るタイミングで王家の人間の帰国は邪魔扱いされたところです。
そして療養所での様子を記者が国に伝え、後の軍事政権のトップ パク・チョンヒ大統領によって帰国したのは事実のようです。

時代がどうあれ、国がどうあれ、皆、戦争に翻弄され正気を失った方々、どうか今は安らかに。

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