津軽系こけし

タンゴのもつれの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

タンゴのもつれ(1914年製作の映画)
3.4
アイデンティティの消失


放浪紳士誕生以後、初めてチャップリンがお決まり扮装以外の姿をスクリーンに映した作品。いつものちょび髭がないと安心しないのは、もはや洗脳の類である。

話の内容はライバル2人の喧嘩喜劇に、女、上司、と典型的なキーストン風味がてんこ盛りである。しかし、それは計算組まれた上品なコメディというよりも、定石の面白い要素を突貫工事に組み合わせたような風貌である。話の構成も「夕立」によく似ているが、自業自得を幕引きにするあちらの方が幾分もスマートである。こちらはアイデアの暴走により着地点を見失っている感が否めない。

強いて言うならコートを2人で羽織ったところぐらいが、この作品の功績であろう。
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