阪本嘉一好子

目を開けて最初にみえたものの阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

5.0
思春期の(高校を終えて大学に入った時期ごろ)の両親(特に母親Hayet (Ghalia Benali))や社会(自分の気持ちを歌ったのが社会に問題発言のように扱われ警察に目をつけられるという状況)に対して反抗。よく言えば、自分の思う人生を生きようとする主人公ファラーに焦点を当ててある映画。秀作。

自分の思うように生きることに対する代償が大きいのは辛い。この代償が将来自分を成長させつための糧となって、自分がオープンマインドになり幅広い人間に成長できたりできればいいんだが。そうであれば喜んでこの代償を私はとる。しかし、ここでは警察の横暴、セクハラ、虐待が入ってきて、警察が市民をコントロールしているし市民警察もいる。この現状を察すると、(し始めていて)思想を取り締まるだけでなく、ファラーFarah (Baya Medhaffer)や彼女のボーイフレンドを取り調べ虐待をしている。この虐待の屈辱を受けたファラーFarahが最後のシーンで母親と歌を口ずさんで立ち直っていくようになっているが、現実問題、ボーイフレンドには裏切られるし(警察で自分が釈放されたいから、彼女をワイルドな行動思想の持ち主だと伝える。)社会統制が厳しくなり、自分の歌を作れなくなる。それに、警察の虐待が心に残り、悪夢のようにうなされる日々をどう解決していくかの方が気になった。思想統制中、歌を作って自分の気持ちを伝える場所もなくなるわけだから。


迫力のある音楽に没頭する若者の生き方だが、自分の思想を伝えることが危険な時代に生きているという設定だ。政府に危険思想と判断される曲『My Country 』をバンドマネージャーはコンサートのセットリストに入れないと判断しても、メンバーは自分たちを思想規制するのか?と。また我々の音楽は国の問題点を歌うと。じゃあ、我々の音楽は一体なんなんだと?それぞれの考えは違う!

この映画は全く予備知識なしでみてたが、Leyla Bouzid監督は少し状況を説明して欲しいと思った。でも、私が最初をみていなかったから、(Tunis, summer 2010)と三カ国語で説明してあったのを見逃していた。でも、それを読まなかったので、手探りでどこの国の話か?言語はアラブ語のようだしで、偏見かもしれないが家政婦がアフリカ系なので北アフリカか?女性たちが顔や体を覆っていない? 男だけが通う酒場がある?フランスの影響力の強かった国?ファラーFarahのボーイフレンドがウードを演奏する(中東、アフリカのマグレブ地方のギター)から、マグレブ地方?この映画で見逃すかもしれないが、いろいろな箇所にチュニジアの国旗と大統領(?)の写真が出てくる。それで、やっとチュニジアの首都だと私の心の中は決まってきた。それに、他の都市の名前(父親が住んでいる場所はガフサ Gafsa)も検索してみたので確定した。自分ながら面白い映画の見方だと思った。普通は言語でかなり国を特定できるが、アラブ語を話している国は多いし多様性のある文化だから国を特定するのは時間を要した。

映画を見終わって検索した結果わかったことだが、チュニジアが『アラブの春』の発端地だったらしい。発端は2010年の12月17日だったから、この映画ですでに政府は思想を規制統制をしているところだったんだな。

ファラーFarahが男だけのバーである老人に聞かせる歌
『My Country』。『自分の国は国を閉じている、この混乱のなか、私は目を閉じる。。。国に問題がある時は、人々も人間の心を失う。。。』

Joujma - 'Ala Hallet 'Aini (As I Open My Eyes/A peine j'ouvre les yeux) - Studio Version (これをコピペして聞いてください)

で始まるこの曲に警察の手が伸びる。このバーで酒をのみ聞いていた人が『これは自分の国ことの曲だと叫んだから、警察にファラーFarahを売る人がいたに違いない。

サウンドトラック
https://khyamallami.bandcamp.com/album/as-i-open-my-eyes-a-peine-jouvre-les-yeux-original-soundtrack