にょいりん

バンコクナイツのにょいりんのレビュー・感想・評価

バンコクナイツ(2016年製作の映画)
4.0
一体どこに向かっているのかはっきりしない群像劇。
3時間近い上映時間は長くも感じる。
そして日本人出演者の大半は演技がぎこちないのが気になる。
つまらないわけでもないけれど、傑作でもない。
でも、この映画は観て良かった。
なぜならこの映画には癒しといっていい様なリラックス効果があったから。

富田監督の前作「サウダーヂ」は日本の地方都市での若者の閉鎖感を胃が重くなるようにじっくりと描いていたが、今作ではその逆だった。
この映画のバンコクの夜に生きる日本人達は楽園にいるような開放感を満喫しながらフワフワと生きている。全編にただようこの地に足が着いてない空気とバンコク、国境の村、ラオスへと展開してゆく風景が観ている方の気持ちをも開いてくれるのかもしれない。ただし、その開放感は絶望のその先にあるモノなので、いい湯加減だと思って浸りすぎるとのぼせて立ち上がれなくなってしまうだろう。

劇中に流れる音楽はタイの伝統音楽、フォークソング、EDMとごった煮な上にどの曲も新鮮な驚きが有って、音楽が流れる全てのシーンが印象的だった。