けーはち

フェリシーと夢のトウシューズのけーはちのレビュー・感想・評価

3.3
エッフェル塔🗼や後にUSAに寄贈される自由の女神🗽が建造中の19世紀末パリ・オペラ座でバレリーナになるフレンチドリームを叶えるアニメ映画。

孤児院を脱走、師🧑‍🏫を得て「ベスト・キッド」的な雑用に溶け込んだ練習でメキメキ上達するスポ根的な展開は「カンフー・パンダ」のテッド・タイ制作らしい。ハリポタじみた邦題のせいで魔法のアイテム的トゥシューズ🪄🩰が出てくるかと思いきやそんな作風じゃなかったね。

フランス舞台なのに言語は英語でノリはアメリカン。エル・ファニングはじめ声優も豪華。オペラ座のコラボ協力で実際のバレリーナをキャプチャーしたダンスは中々よく出来ている。ただ良家の子女を騙ってバレエ学校に潜り込んだ主人公がバレて孤児院に送り返されたけど努力で関係者各位に実力を認めさせたので「結果オーライ」となる展開はヤンチャすぎ……😅

そもそも舞台となる19世紀末はパリ・オペラ座バレエの衰退期(ロシアにお株を奪われた)でバレリーナは英才教育を受けた良家の子女が成る花形職業ではなく、パトロン探しが本命の高級娼婦ダンサーみたいな感じ。必然的に技量より器量、セックスアピールの場なので「孤児院上がりの素人娘が一躍スターダムに」はあり得ないでもないが、詳細は子供に夢を与えるアニメでは描きたくない所。故にかどうかは知らないが本作にはバレエを観る側の人間が全く出てこない。現実には観る側の匙加減が重要で夢は叶ったり叶わなかったりするのだが……演る側の努力にフォーカスしたスポ根という比較的爽やかな美談で糊塗して夢を壊さない配慮に満ち溢れたアニメなのだろう。