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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのKotaのレビュー・感想・評価

3.5
“もう、頭ではわかっているだろ?”

新作“哀れなるものたち”の鑑賞前に唯一観ていなかった今作を満を辞して。心臓外科医スティーヴン(コリン・ファレル)の裕福な家庭が破滅に向かう様を監督独特のカメラワークや淡々としたシーン展開で描く、これまた性格の悪すぎる作品。

何が起こるわけではないのに、ヨルゴス・ランティモスは“それ以外”の映画的要素で不穏感を生み出すのが本当に上手い。特に息子が病気で倒れるシーンの上からのショットと、ラストのグルグルバーンの固定カメラのシークエンスがやばい。なんでこの撮り方?ってなるくらいに斬新なんだよなぁ(それがヤバいのだけど)。そもそも、その報復のルールなんやねんって話なのだけど、この人の作品だから不思議と腑に落ちている自分がいる。

バリー・コーガン、最近“Saltburn”での怪演も素晴らしかったけど、この頃からバケモノなのね…。あとやっぱりニコール・キッドマンが凄いよ。この人の絶望の顔がアップになるだけで、それがすでに映画なのです。
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