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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのKのレビュー・感想・評価

3.5
不条理で、どこまでも不安が拭えない奇妙な映画だった。思わぬアクシデントやショッキングな場面すらも、ただただ静かに、ありのままを画面に映す手法に何度も不快感を覚えた。この世のものではない、目に見えない何か特別な力が存在しているのが確かに伝わってくる。

それに、バリー・コーガンのじわりじわりと精神を冒してくる怪演っぷりよ……。狂っていてイカしていてかっこいい!とか、振り切っているキモさが最高!だとか、そんなテンションで語れる類のものじゃない…。ただただ、嫌。強い不安感にかき乱されて、観てるこっちも頭がおかしくなりそうだった。

ヨルゴス・ランティモス監督作品は初めての鑑賞だったけれど、どこかキューブリックに似ている。美しい画面構成のはずなのに、どこか不自然で奇妙。劇中の登場人物以外の人間の気配(カメラマンや、その他スタッフ)を感じないと同時に、存在してはいけない何者かが潜んでいるような恐怖や不安感を覚える手法。うわ~~ハマりそうだ。他の作品も近々観てみようっと。
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