安堵霊タラコフスキー

Peace to Us in Our Dreams(原題)の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.8
やはり良い映画において言葉は添え物程度でしかないということを改めて思い知った作品。

というのも、この作品のDVDをイギリスから取り寄せたらまさかのスペインからの輸入品で字幕がスペイン語しか付いておらず、ちゃんと理解できるかと柄にもなく心配してしまったけど、そこはシャルナス・バルタスらしく台詞をあまり用いないで映像で語るスタンスを取っていたので何の苦も無く映画を味わうことができた。(一応スペイン語の字幕を自力で英語翻訳してみたりしたけど画面を見て予想できることを殆ど言っていただけだった)

そしてその映像も湖畔を中心とした自然の風景が絵画的で美しく、人物への光の当て方も絶妙で(日向は勿論日陰でも僅かな陽光が美しい)、映像に美的なものを求める人間に最上級の喜びを与えるものとなっていて、この映画のDVDをちゃんと確認せず買ったのは正解だったようだ。

ブレッソンやベルイマン、あとソクーロフやビクトル・エリセが好きなら絶対気に入る一品だが、こんな言葉に頼らず美しい映像で語る良い映画も、他のシャルナス・バルタス作品同様日本では儲からないってことで絶対上映されないだろうと思うとなんとも惜しい。(そういう意味でも買って正解だったとつくづく思う)