ゆみゆみ

ソフィー・マルソーの秘められた出会いのゆみゆみのレビュー・感想・評価

4.0
この作品は好きやわ…ため息。

量子力学の世界では物質はどの方向へも進める。例えばパットを打つ瞬間、パターがボールに当たる瞬間まで、ボールはどこへ進むかはわからない。

って書くと物理の話?って感じだけど、これは恋の話。

作家のエルザ・サントリーニ(ソフィー・マルソー)は自身の出版記念パーティで弁護士のピエール・ソラル(フランソワ・クリュゼ)と出逢う。エルザはバツイチで3人の母。ピエールは妻帯者で2人の子持ち。
恋に落ちれば、不倫の関係に…。けれど、惹かれ合うにも関わらず、その夜、連絡先も交換せず別れた二人。

この心理劇ね。
お互い惹かれ合っているのに、会いたいとは言わない、顔を寄せ合うのにキスはしない…という葛藤。ジリジリするがお互い子持ち。妻も捨てられない。その二人の葛藤は凄まじいと私は思う。
劇中何度もお互いが妄想膨らませてるのが、笑えるような切ないような。そして現実のような。

ソフィーは言わずもがなの美しさで、スタイルも抜群。フランソワも大人の男の色気もありながら子煩悩な優しい顔もまた惹きつけられる。
美しい。とにかく美しい。妄想が何より美しい、のは妄想だからか。

彼らの妄想とはパターがボールに当たった瞬間の、その後の無数に分かれるボールの進路の一つであって、運命なのか意思なのか、インパクトの瞬間進路は決定する。

終わらせたくなければ始めるな。
深い。そして切ない。
まさしく文学ですな。
ゆみゆみ

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