ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』の映画版。原作に劣らず、愛と死、翻っては生について、サスペンスフルに問いかけてくる。
原作はついついノートに書き留めたくなる引用の宝庫だ。映画版もそれらを忠実に拾い出して、原作の奥行きを反映している。
「私たちは自分の人生を頻繁に語る。語るたび、あそこを手直しし、ここを飾り、そこをこっそり端折る。人生が長引くにつれ、私が語る「人生」に難癖をつける人は周囲に減り、「人生」が実は人生でなく、単に人生についての私の物語にすぎないことが忘れられていく。それは他人にも語るが、主として自分自身に語る物語だ。」
イギリスならではにシックスフォームの回想シーンも素晴らしい。