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ハクソー・リッジのabeeのネタバレレビュー・内容・結末

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

【戦場に舞い降りた天使】

メル・ギブソン監督作品。

「パッション」はキリスト教の基礎知識が少なかったことと初見の年齢が若すぎたこともあり、何も感じませんでした。それからというものメル・ギブソン作品は敬遠してきたのですが…。

しかしこれは凄い映画でした。2017年作品は「ベイビー・ドライバー」が1番かなと思ってましたが、圧倒的でした‼︎

銃を持たず戦場に乗り込んだアメリカ兵、デズモンド・ドス。彼は衛生兵として戦場で戦った。

過去に物議を醸した「プライベート・ライアン」の冒頭、オマハ・ビーチの攻防なんて比じゃないくらい圧倒的な死の描写。人とは思えないほど全てがあっけなく吹き飛んでいく。「プライベート・ライアン」の冒頭が観れなかったと言う人はこの作品は絶対に観れないだろうな。

とは言ってもこれは戦争映画ではありません。1人の男の生き様を描いたヒューマン・ドラマと言った方が良い。ラスト30分、とにかく涙が止まらない‼︎久々に嗚咽をもらしながら深夜に1人泣きましたよ。

実在の人物なので憶測でものを言うのはあれなんですが、彼は「厳格なキリスト教徒であるために殺生はご法度。だから絶対に銃は持たない。」という信仰心の熱い男、その信仰心が彼の信念であると描かれています。しかし、彼の行動は「デズモンドの贖罪」に思えてならなかった。心の奥底にはそれがあったはずだと感じるストーリー展開だったと思います。兄を殺しかけたこと、父に銃を向けてしまったこと、結果的には何も起こらなかったかもしれないがそれは純粋な彼の心を蝕み続けていたようでした。その罪を洗い流すため、彼は戦場に行くことを自ら望んだのだと。

ひとりで戦場に戻っていくデズモンドの姿はそこに意思はあるのだけれど、どこか動かされているように見えました。それはきっと「神さまの計画」なのだと。
最後まで信念を曲げず、戦い続けた彼は本当に天使のようでした。

でもこの作品いちいち笑かしてもくれて、デズモンドと同じ隊の兵士・ハリウッドが物凄く良いキャラしてるんですよ。あの濃いぃ強面のルックスなのにどこかマヌケで爆笑しました。戦場の場面でも笑ってしまいましたよ。

ということで総じて戦争ものでは今のところダントツで私の心に響いた作品となっています。戦争映画の傑作とされている作品群を大半観れていないので、これを機に色々観てみようかな。
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