ぶみ

藍色夏恋のぶみのレビュー・感想・評価

藍色夏恋(2002年製作の映画)
4.0
あの夏のことを、何度思い出しただろう。

イー・ツーイェン監督、脚本、グイ・ルンメイ、チェン・ボーリン主演による台湾、フランス製作の青春ドラマ。
親友からラブレターを渡すように頼まれた女子高生モンと、渡された男子校生チャン等のひと夏を描く。
物語は、モンにラブレターを渡したリンを含め、三角関係に陥っていく高校生の姿を中心に展開、三人三様、微妙に思いがすれ違う様が、自然な台詞回しで描かれるとともに、自分の感情を一つ一つ確かめていく過程は、まさに子ども以上、大人未満である青春時代ならでは。
2003年の映画なので、それなりに携帯電話が普及している時代だが、そういったデバイスを極力廃しているのも好感が持てるところであり、何より映像から台湾の爽やかな夏時間が伝わってくるのも素晴らしいもの。
また、原題が『藍色大門』、英題が『Blue Gate Crossing』と、大人への入り口や気づきとして『門』を使っているのも悪くない。
そして、主人公を演じた二人が、昨年台湾でのボルボのコマーシャルにおいて、本作品の19年後の世界を描いた続編のような内容で共演しているのも見逃せないところ。
そのイメージに反して、当時としては、中々攻めた内容だったと思われるが、それはいつの時代も変わらぬものであり、あの夏を自転車で駆け抜けた主人公等の姿に、青春時代の瑞々しさと儚さが蘇ってくる良作。

その分、俺たちは大人になった。
ぶみ

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