ヤマメ

帝一の國のヤマメのネタバレレビュー・内容・結末

帝一の國(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

男の園、男版『マリア様がみてる』


原作、古屋兎丸『帝一の國』を実写化した映画。
個人的に菅田将暉さん強化月間に入ったため鑑賞。号泣したり笑ったりと、何度でも観たくなる映画だった。

男子高を舞台とした作品だが、古屋兎丸が描くとまるで「男の園」のような耽美さが研ぎ澄まされる。
本来醜いはずの争いは美しく昇華され、鮮やかに描かれる。
そこにはやはり、古屋兎丸の描く「男」の活かし方がある。

古屋兎丸の別作品『ライチ光クラブ』の構図と、この作品はよく似ている。
トップを目指す為には手段を厭わない野心家・帝一、その側近であり帝一を愛する男・光明、愛に溢れた正しく真っ直ぐな男・弾。
この構図は「男の園」の完成に必要不可欠なのである。

そしてそんな男たちに異常なまでの結束力を生ませる生徒会長選挙。
その結束は、まるで男版の『マリア様がみてる』のようだった。

帝一と光明、氷室と駒のように、何が何でも上を目指す男には側近がいる。
やはり古屋兎丸の描く〝トップ〟には、その側にいる「男」の存在が大きい。

「男の園」の頂点に立つ者は、女性ではなく「男」からの愛が必要なのである。
頂点に立つ男に身も心も捧げる「男」とは、案外一番恐ろしい者なのではないだろうか。

観賞後は「男版『マリみて』だ!」と思い一人感動した作品。
ぜひ鑑賞し、古屋兎丸の漫画をすべて購入してほしい。
ヤマメ

ヤマメ