このレビューはネタバレを含みます
父・総理大臣と、美美子・母・ピアノの対比。帝一が父の期待を背負って海帝高校の生徒会長、その末の総理大臣を目指すにあたって美美子の存在がその対極にある構図が分かりやすい。素朴で純粋な美美子の質問が帝一を揺り動かす。
ウザキャラでライバルの菊馬、リーダーシップ、外部生で庶民、人望タイプの弾、諜報・参謀的存在の光明などキャラクターも個性的。弾や森園がフラット・あるべき目線で描かれているので、より政治の黒さやローランド・帝一の立ち位置も明確になって分かりやすい。そこからローランド・菊馬ライン、森園・弾ラインが出来上がっていく流れも面白い。賄賂問題、戊辰戦争の例などから戦局を変えてくアイデア、マイムマイムなどもあり奥深い。金より人望。一票で負けた父親の伏線回収。父親も諦めずに総理を目指す匂わせも良い。菊馬の腐れ縁。最後の成長した帝一。かと思わせての変わらずの帝一。めちゃくちゃ良い。原作を知らない人でもだいぶ翻弄されて良い作品に仕上がっていると思う。
試験問題を解いてる時のラップの演出も印象的で、舞台的、劇場型な演出がアニメ原作との相性も良く丁寧に仕上がっている。漫画原作の映画化作品の中では割と上位に食い込む巧みな作りだと思う。
「ケツ毛に挟まるティッシュだ」
「去る者は追わず。されど後ろから撃ち殺す」
「総理大臣になって何がしたいの?」
「私は帝一君のピアノが聴きたい」
「だって僕の国なら、誰もピアノの邪魔をしないでしょ?」
「されど空の深さを知る」
「おめでとう弾。借りは返した」
「だって友達だろ」
「俺の就任式でピアノ弾いてくれよ」
「喜んで!」
「次期生徒会長は、大鷹弾」
「ねえ、総理大臣になるの、諦めてないよね?」
「諦める、そんな言葉、帝一辞典から削除済みだ」
「操り人形」