いみ

愚行録のいみのネタバレレビュー・内容・結末

愚行録(2017年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

暗い話だと思ってみたがその通り暗かった。
あの兄妹は近親相姦関係だったのか。

備忘録。
妻夫木兄と満島妹は虐待する親から各々を守るために身を寄せあい次第に肉体関係へ。
はっきり言及されていないが、満島の宿した子供は妻夫木の子。それを示唆するのが、
満島が子供を虐待し(結果亡くなるが)塀の中に入り壁隔ててする兄との会話「お兄ちゃん大好き。二人だけの秘密があるって素敵よね。」からも推測できる。

満島妹は大学でカースト上位の松本から目をつけられ外面よく友達のフリをして数々の男を相手にさせられる。
時がたち松本は絵に描いたような幸せな家庭を築いていた。
子供と楽しそうに歩く松本に無視された妹は、呆然と後をつけ家族3人を刺し殺してしまう。
(そのことは精神科医不在の部屋の中まるで誰かに話すかのようにカメラに向かって視線合わず淡々と話していくところで明らかになる。医師が部屋に戻ると何事もなかったかのように振る舞う。)

兄は兄で歪んだ思いを抱えたまま生きている。
(バスで妊婦に席を譲れと叱咤され譲るが、足の悪いフリをして叱咤した男性を気まずい思いにさせそれを確認して去っていく初めのシーンはとても印象的。
関係ないけどユージュアルサスペクツを思い出した…カイザーソゼ…。。)
妹の事件で追う記者として取材するインタビュー中、大学時代の妹のことを軽視軽蔑した臼井を撲殺、吸殻に臼井の元カレ(松本に奪われた)のたばこを起き偽装する冷酷な人間でもある。
(このシーンも圧巻だった。音を一切排除して固定カメラで見せていく。)



物語は兄妹のそれぞれの心情は表されない。二人のお互いを想う気持ちがどんなものかも提示しない。ただ淡々とでてくる人物すべてが「愚行」であることを見せていくだけ。
そこで思う。
人は生まれ育った環境や関わる人に強く影響されて人格が形成される。でもどうだろう、裕福で恵まれたところにいた彼らもまた愚かそのものだった。
性善説ではなく性悪説が真実なのかもしれないと思ってしまう、ほんとに暗くて救いも希望もない映画なのだ。
自分の行いを考えよう。
エンターテイメントという部類ではないが問題提起させる為の映画として必要な映画かもしれない。
愚行という負の連鎖をたちきるためには一人一人の行いにもっと思慮深さをということなのだろう。
いみ

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