狂信を観る映画。
自分をエルヴィス・プレスリーの生まれ変わりと信じる男の物語。
初めて予告編を見た時から、心惹かれるものを感じていました。憧れの人への熱い想いが作り出す滑稽だけど美しい変態的模倣の話だと思ったんですよね。
でも、熱さはありませんでした。憧れとかそういうことではなくて、生まれ変わりだとすっかり信じ込んでいるんですよ。だから自分をプレスリーに寄せることだけに一生懸命で、自分自身が無い人になってしまっているのです。
変態的だけど、ちっとも美しくない。
思春期の頃、自分の性格が好きじゃなくてクラスの人気者かなんかの振る舞いをマネしたりしましたが、それは自我をかなり意識していますからね。それとは全く違います。
圧倒的孤独を観る映画なのかなあ。
あることをきっかけに、別居中の妻が引き取っていた娘と暮らすことになりますが、それは彼が自分自身を取り戻すきっかけになるのでしょうか…。
ご覧になる方は、エルヴィスの経歴、特に晩年の経歴を予習されることをお勧めします。知らないと分からないことが多いです。