千年女優

鉄コン筋クリートの千年女優のレビュー・感想・評価

鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)
4.0
ヤクザやホームレスがたむろする混沌の宝町。カツアゲやスリを働いて生きるみなしごの少年二人組で、無邪気で人懐っこく予知能力にも近い直感を持つシロと喧嘩っ早くシロを守ることに命を懸けるクロ。高い身体能力で町をとび回って「ネコ」と呼ばれる二人が、地上げを行うヤクザとの因縁に巻き込まれていく様を描いたアニメ映画です。

講談社でデビューして小学館移籍後に評価を高めた『ピンポン』らで知られる松本大洋の代表作のひとつを、前作『マインド・ゲーム』で注目を集めたSTUDIO 4℃の制作、『アニマトリックス』のマイケル・アリアスの監督で映画化した作品で、アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネート最終候補に選出されるなど技術の高さが称賛されました。

長期連載原作故のダイジェスト感はあっても逸れ者の少年が親同然の町そのものに執着する物語はエネルギッシュで、日本らしい書き込まれた手書きアニメと技術革新によって生まれた3Dアニメを併用した映像には素晴らしい躍動感と色彩の豊かさがあって、それが登場人物が雑多な町を所狭しと飛び回る原作の魅力を引き出している一作です。
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