Jeffrey

白い朝のJeffreyのレビュー・感想・評価

白い朝(1965年製作の映画)
2.5
「白い朝」

本作は各国共同のオムニバス作品の流行に便乗して制作された四カ国合作の日本編である。これは一九六五年の作品なので、きっと国際的に絶賛浴びた「砂の女」で勅使河原に声がかかったんじゃないかなと個人的には思う。イタリア篇はジャンヴィットリオ・バルディー、そしてフランス篇をジャン・ルーシュ、カナダ篇はミシェル・ブローが監督しているそうだ。しかも日本編の制作はにんじんくらぶと言うこれまた今は亡き懐かしい所である。武満徹がどうやら七五時間にも及ぶテープ録音を編集した素材をベースに安部公房が脚本を書き、撮影は写真家の石元、フィルムモンタージュはグラフィックデザイナーの栗津が担当したそうだ。主演の入江はモデル出身で翌年の「他人の顔」でも大役を得ている人物である。この映画とりあえずカット割の多さにビビる。

冒頭から電話の着信音が鳴り、時計の秒針の針の音が刻まれていく。そして布団の中に潜っている一人の女性を映し出す…やはり主演の入江は美しい。当時の日本人が見れるだけでも非常に嬉しく思った。さて、物語は深夜のドライブに出かける主人公の女子寮に住む16歳の少女と青年たちが異性との性的な通過儀礼を体験し満足感を得てしまうと言う話なのだが、クローズアップを主体とした構図が目立つ作品でもある。心理的にも社会的にも女の状況を描写しているのは非常に面白いし勅使河原宏らしいとは思う。
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