平田一

アナイアレイション -全滅領域-の平田一のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

正体不明の“エリアX“、またの名を”シマー”と呼ばれる異変領域に踏み込んだ5人の女性に襲いかかる未知の事態と恐怖を描いたミステリアスなSF映画。原作はジェフ・ヴァンダーミアの小説「全滅領域」。監督は『28日後…』(脚本)のアレックス・ガーランド。

一年間行方知れずの夫が突然帰ってきた。妻である生物学者のレナは夫がとある任務、シマーと呼ばれる領域からの唯一の生存者であること、シマーの領域は拡大の一途であると知らされる。夫を救うためにレナは調査団と調査に行くが、待っていたのは人智が到底通用できない“狂気”だった…

序盤かダラダラ感じられて、眠気も結構あったんですが、シマー突入以降を境に一気に認識変わります。特に異形の生物が隊員らに襲ってからは一転して恐怖映画と化したのがヤバイです。

フッと思い出したのはスティーブン・ソダーバーグが手掛けた『ソラリス』でしたね。あれも一切正体不明の惑星の調査に向かって、奇怪な現象に見舞われる人間らのお話ですが、これはさしずめ現代版ソラリスみたいに思います。とはいえそっちと比べて見ると、この映画は直接的に危害を及ぼす場面が多く、しかも危害の及ぼし方がかなり特異としか言えず…

要するに哲学的なSFホラーと言えそうですが、同時に美しさも内包をしていたところが面白い…しかしあらゆる説すらゴールに至れないのが恐ろしく、プリズムのようだと言ってた説に今は縋るしか…

annihilation = 全滅、壊滅、殲滅、対消滅

何ともスゴい題名のお話だと痛感するが、もしかしたら相対したのは滅び続けることそのものが理の存在で、ホントに地球に来た目的とかハナから持ってないのかも。原始生物的だけど、もしホントにそうだとしたら明確なゴールなんか既に見込みゼロじゃんか…

でもホント久しぶりに、難解さが面白いと思える作品でしたね。あのラストもそうなんだけど、煙に巻かれてばっかですw

原作は三部作とあるので、そちらも触れてみたい。
平田一

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