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ジュリエッタのwigglingのレビュー・感想・評価

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
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『私が、生きる肌』ぶりに観るアルモドバル作品は、変態度低い方のラインでした。

ファーストショットから目の覚めるような鮮やかな赤。以前の色調というか感触とは違ってて、明らかにデジタルの映像なんですね。パキッとエッジの立った画素の集合体にいきなり襲われる。
この赤は要所要所に配置されてて、本作のテーマカラーになってますね。

そして出ました、ロッシ・デ・パルマ!
アルモドバル作品の常連俳優で、なんでこんな顔の女優を使うんだ?と思うくらい特殊な風貌の。初期作品ではメイクもド派手なせいで、まるで化け物でしたよね。
今回はメイド役ということで地味、それでも凄い。そして端役のようにみえて実は重要キャラ。
もし彼女が出演してなかったら本作は退屈なものになってたと思う。

お話的には可もなく不可もなく。失踪した娘が身を寄せるのがカルトっぽい感じのところだったので、それをもっと転がせば面白かったのにと。

ジュリエッタの苦悩は内容が内容だけに他人に相談できないのが辛いところ。新しい恋人も彼女が何に苦しんでいるのか分からず、力になることもできないのはさぞ辛かったろうと。
娘も完全に決別しているふうでもなく、心情の変化を手紙の差出人欄で表現するのが面白い。

すべてはヘン顔のメイドの歪んだ姑意識によってもたらされる。やはりあの役は彼女じゃないと意味無かったということか。
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