詩人のウィリアム・カーロス・ウィリアムズが愛して抒情詩を残したことでも知られるニュージャージー州のパターソン。そこに愛する妻のローラと愛犬マービンと暮らすバス運転手で街と同じ名前を持つ男パターソンが、規則正しい生活の中で見つけた些細な瞬間を捉えては思いついた詩をノートに書き留める一週間を描いたドラマ映画です。
NY大学ティッシュ芸術学校での卒業制作『パーマネント・バケーション』でデビュー以来カンヌ国際映画祭での各賞を始め多くの功績を残すジム・ジャームッシュが、造詣深いウィリアムズやウィリアム・バロウズに触発されて制作した作品で、心温まる物語が評価されて主人公演じるアダム・ドライバーと共に各国の映画賞で称賛されました。
ゆったりとしたテンポでじっくり主人公追う作風は洗練されていて、繰り返しにある些細な変化やリフレインを見逃さずユーモアやカタルシスとして捉えます。進歩主義の社会にあってあるいは足踏みや地団太と揶揄される日々。急いて進んでも足がもつれて転ぶだけ、ならばゆっくりとしかし着実にステップを踏む。スローダンスな一作です。
