もめん豆腐

聖の青春のもめん豆腐のレビュー・感想・評価

聖の青春(2016年製作の映画)
4.0
村山さんの周りにいる人が皆あたたかい。それに、リリーさんの関西弁も竹下景子さんの広島弁もとても良い。方言を持たないあてくしには胸熱。お国言葉っていいよね。みんなもっと使えばいいのにって常日頃から思ってる。千駄ヶ谷の駅舎も旧舎で懐かしく感じたわ。まだたったの数年なのに。古い駅舎は味わい深い。
どうでもいい話をぶっ込むと、あてくし家では休日に将棋をさす音がしなかった日はなく、明けても暮れてもぱちんぱちん小気味よい音がしてた。でもって、生まれた時から日曜午前10:00は教育テレビで将棋講座と決まっており、一番古い記憶は大山名人がさしてるところ。それ故に他の人よりは将棋の世界についてほんの僅かに知ってるかな。だから登場する棋士も知っている人ばかりだった。
そもそも将棋は世の中に必要かと言われれば全く必要はない。汗かいて働いている訳でもない。だけど人類の叡智への挑戦を感じる。そこにロマンを感じる者が棋士達の熱い戦いを見つめるのだと思う。勝つか負けるか、その様はまさにセリフにあった“将棋とは殺し合い”の様相を呈する。そして、村山さんの言葉“強ければ正しい”も正しいのである。敗者は立ち去るのみだから。
観ていて、村山さんの羽生さんへの想いがひしひし伝わってきたのよね。もはや羽生さんへのラブレターなのかと思うほど。ライバルなんだけど仲良くなりたかったり、憧れたり、言葉にしようもない感情も伝わってきた。まだまだ生きたかったんだろうな。でも、病気になったからこそ将棋に出会えたとも言っていたし、運命の神様はだいぶ意地悪だ。
最後に羽生さんに見送ってもらえて良かったね。天国でたくさんの猛者がいるだろうから、毎日ああだこうだと楽しくやってるんだろうな。
次はこれまた熱い戦いと深い人間模様が繰り広げられる奨励会の話が観たいので『泣き虫しょったんの奇跡』を観るつもり。
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