クリーム

ある戦争のクリームのレビュー・感想・評価

ある戦争(2015年製作の映画)
4.0
長い時間をかけ、クラウスと部下達の関係性や妻が夫の留守中、いかに子育てに奮闘しているか、裁判となった攻撃要請の前後等、裁判で必要な情報を全て観せてくれた上での裁判。私達は、クラウスの目線で全て目撃している状況です。なので、クラウスの気持ちで映画を鑑賞する事になります。こんなに色々解った上での裁判。苦しい感情が手に取る様に解る映画でした。
デンマークに妻子を残し、タリバン圧政下のアフガニスタンに派遣され平和維持活動にあたるデンマーク軍の兵士たちを率いるクラウス。前日、助けを求めて来た村人を訪ねたクラウス達は、敵の急襲を受けて航空支援を要請するが、その支援攻撃によって民間人が犠牲となってしまい、戦争犯罪として裁判にかけられてしまいます。裁判の判決はいかに…。と言った内容です。




ネタバレ↓




法務官は、彼女の仕事をしているまでなのだが、全てを目撃した者としては、『だったら、あんたが戦争行ってみろよ!』と思ってしまう。現場を知らない人の訴求って、恐ろしい。
妻の『死んだ子供より生きてる我が子を考えて』は、凄く良く解る。けしてイヤな女ではなく、むしろ彼女も頑張ってる良い人。残酷な言葉だけど、妻にしたら絶対そうである。勿論、クラウスと言う人間を絶対的に信じているからの言葉。
クラウスの罪の意識が、観てて気の毒だった。彼は、部下達を危険から守る必要があったし、その場での瞬時の判断なんて、あんなものだと思う。けして間違っている様には見えなかった。
判決は無罪。これが有罪だったら誰も軍に従事などしないだろう。恐ろしくて軍務なんて出来ない。
だけど、「銃口を見た」と言うブッチャーの証言は恐らく真実ではない。クラウスにも何が真実だったか分からないままだと思う。ただ 第6地区の民間人は確かに自分のせいで殺された。 クラウスは、ずっとそれを背負って生きる。たまたま起きた不運。理不尽である。亡くなった民間人を思うと気の毒だけど、そもそも悪いのはタリバン。何とも後味の悪いストーリーだったが、見ごたえがあり良い作品だったと思います。
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