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殺人容疑者のHKのレビュー・感想・評価

殺人容疑者(1952年製作の映画)
3.4
「黒い画集」などの鈴木英夫監督によるサスペンス映画。キャストは丹波哲郎、土屋嘉男、小林昭二などなど

東京は今日も善人と悪人と様々な人々で跳梁跋扈している。ある日、深夜の新宿で一人の男が殺された。それと同じころ彼の証人なる女性もまた殺されていた。警察は女と関係があった男と、その男に恐喝をしている会社員も洗ったが白であった。果たしてどうなるのか…

和製ヒッチコックこと鈴木英夫監督によるサスペンス映画である。ただし「彼奴を逃すな」よりかはインパクト不足というか、そこまで大した作品とは思えない。

序盤は当時の警察が事件をどのように調査し解明していたかをナレーションを用いて丁寧に説明している。そこの場面はなんというか、今見るとちょっとかったるいのかな。時代のせいだなんて言いたくないけどちょっとばかり演出がくどいなとは思ってしまった。

後半になっていくうちに、全ての黒幕である木村商事の社長木村が追いかけられるサスペンス展開となっている。丹波を下水道で追いつめる所は視線の動きなどを使って緊張感あふれる雰囲気を出していてそこがとても良かったのだが、主役の丹波に共感ができないので何とも言えない。

丹波はこの映画が初主役らしいのですが本当に若々しいですね。流石アクション俳優だったこともありスレンダーで端正な顔立ちと程よく筋肉のある体型が溜まらないですね。

映画には、丹波哲郎以外にも、同じく鈴木映画では出ている土屋嘉男も登場している。あまり目立っていないが、彼と丹波の終盤の下水道でのサスペンス劇はとても良かったですね。

とにかく犯人を警察が捕まえるまでの過程で、日本のサスペンス劇場でよく見られる、犯人に対する深堀とか、説得のようなことをやってだれてしまう悪癖のようなものはこの映画では感じられない。ひたすら犯人を追いつめるところは緊迫感ある映像で見せているだけである。

このような形でひらすら犯人を追いつめるだけでも映画になるということを最近のテレビ屋映画などはやってほしいという気持ちもなくはない。

序盤の捜査シークエンスはかったるい所はあるのだが、所々笑わせる演出もある。「彼奴を逃すな」でもそうであるが、犯人の顔を断定する際に様々なパーツを合わせていく所とか見ていて面白いですね。

まあまあ面白かったですが、ちょっとばかりインパクト不足でしたのでこの点数にします。ですが見れて良かったと思います。
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