群青

ONE PIECE FILM GOLDの群青のレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM GOLD(2016年製作の映画)
3.3
FILM REDを機に再鑑賞&再レビュー。


2016年劇場鑑賞映画24作目。


鑑賞した当時は、概ね楽しめたけどオープニングのスタッフ紹介が長いとか、テゾーロの過去は中途半端だからバッサリカットするかもっとちゃんと描くかどっちかにしてほしかった、とか書いてたけど今回の再鑑賞では気にならず。むしろよくまとまっているほうではないかとさえ思った笑
こんだけ自分の中で変わるとは思わなかった。

前作が渋い作風だったため、今回は割り切ってエンターテインメントに振る、という方向性は正しい。
さらにそこからカネにまつわる話=カジノに発展させ、敵はカネに執着しカネがあれば全てを支配できると豪語するキャラにさせる。さらに能力もカネにまつわるもの、彼がカネに執着する理由が奇しくもルフィが目指す自由と同じだった、という鏡像関係まで構築している。これは上手いのでは?笑
なぜここまで気持ちよくなれなかったんだろう、と当時の自分を疑ってしまう。

エンタメなんだからチームでの強奪ものを描くのも筋が通っているし、そこに一味らしい一波乱あるのもご愛嬌。ゾロは強すぎるので戦闘不能にしてヒロインにさせる、という都合を脚本にねじ込むのも上手い笑

テゾーロの過去は中途半端というよりは示唆程度にさせ、カネがあれば救えたからカネを求めるが、その成れの果てが同じようにカネという恐怖で縛る人に堕ちてしまうというのも皮肉でよき。
笑えよ、という口ぐせも彼が欲しかった金と自由と笑顔だったというのを考えると哀しさがある。

しかしだからこそ人を縛ることが一番嫌いなルフィとぶつかり合う。
普通ならまだ簡単に勝てるが周りがテゾーロの有利なものだらけ、ということで拮抗しているのいい。

これらの良さはテゾーロの声優の山路さんだろう。テゾーロのバックボーンも含めた演技が素晴らしい。
叫び声も歌声もあざわらう声も呟く声も最高。いや、マジで最高。

テゾーロは政府にとっては要注意人物なので、裏でCP0や革命軍が動くのも至極当然。人気キャラがチラッと出るには好都合。

敵幹部も濱田岳のタナカさんが素晴らしい。俳優吹替で上位に入るだろう。
バカラの菜々緒はちょっと下手だけどこっちはこっちでバトルがいい。運気を利用する能力にどう立ち向かうか。ウソップの戦い方は毎度知恵が絞られているため好き。

縦軸はテゾーロとルフィだが横軸はナミとカリーナ。2人の付かず離れずの関係と過去をしっかり描いた上でのオチが気持ちいい。しかもこのオチが今作でのルールにも則っているため二重で気持ちがいい。


面白いぞ!今作は!


ちょっと気になったのはテゾーロの本性がすぐわかるところ。麦わらの一味をもっともっと泳がせてから絶望に落としたかった。最初から怖い面が出てるよりは表面上は正しく島を取り仕切っている、というのがあったらもっとよかったかもしれない。

まあでもそれ以上に楽しめたのでお釣りだけで十分。原作者監修のシリーズは間違いなく洗練されている。
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