垂直落下式サミング

ジュラシック・ワールド 炎の王国の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
五作目にして、ジュラシックパークもそろそろ限界だと感じた。まず、映像的に恐竜に圧倒されることはなくなり、ストーリーとしても人間が如何にして恐竜を使って儲けるかという話の繰り返しになってしまった。
今回のインドラプトルは、人の殺傷を目的として品種改良された生物兵器。もとから、資本主義社会的な上昇思考や、行き過ぎた科学への警鐘というのがテーマの作品ではあるけれど、前作で既にキメラ恐竜を登場させているのに、本作でも似たようなアイデアに頼っているから、持っている手札を完全に使い切ってしまったことをみずから露呈してしまった。
前作の合成大怪獣インドミナスレックスは、なんやかんやカッコよさこそがジャスティスで受け入れられたけれど、ラプトルサイズに小型化した結果あんまり強さを発揮できていない気がする。小さいほうが最先端みたいな、アップル製品みたいなノリでやってらっしゃるけれど、やっぱりパワーを出したいんだったらデカいハードっしょ。
頭がよくなったわりには、作中でしたことと言えば寝たふりして抜歯おじさんを奇襲しただけだし…。しかも、ロリコンになるとかいう社会的に生きづらそうなデメリットまで背負わされてるし…。
コイツは軍用生物兵器としてめっちゃ研究費かけて作られたらしいのだけれど、こんなの一匹よりもドローン何100機のほうが価値高いだろ。恐竜の競りにやってきた闇のブローカーたちが大興奮してんのホント謎だったもんな。
舞台を孤島から洋館にうつしゴシックホラーテイストにして、ラストであんなことをされても、世界が開かれるわけではない。もうこれからは磨耗していくしかないシリーズになってしまうのは、大ヒット作の続編の定めなのだろうか。
役者と恐竜が一緒の画角におさまるシーンでは、恐竜をアニマトロニクスで作っているようで、もう一度、実物を作ってそれを動かす撮影手法に回帰しており、それが今回の目玉のひとつとなっている。が、そのティラノサウルスがCGだろうと実写だろうと、同じ映像が見られるのなら観客にとって「どう撮ったか」なんてことはどうでもいいわけです。このシーンが実物でなければならない価値は、残念ながら感じられなかった。
ラストの結末も予定調和というか…。あの女の子の物語を恐竜島脱出と平行して描いていたのは、管理からの解放を表現してみたかったからだろうけれど、「ストーリーのためにいる」キャラクター設定は、その人物に思い入れがもてないし、気に食わない。