Joey

LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版のJoeyのレビュー・感想・評価

5.0
生まれ育った街の周りにゲートが作られ、見知らぬ人たちによって立ち入りが禁止されている。そのゲートは見知らぬ人から街を守るためのものだろうけど、見知らぬ人が見知らぬ人と対峙している。思い出の詰まった街は、いつの間にか誰か分からない人達が管理するようになって、その街の人達は訪問者になってしまった。正しく、これは解けない知恵の輪だ。生きて、愛して、そして歌って。これしか答えはないのかもしれない。

神戸の震災を描いた「その街の子ども」でもそうだったけど、こんな時は歩きたい。ひたすら、どこまでも歩きたい。疲れ果てて眠りたくなるまで歩きたい。そして、放射能のお陰で生き延びたカルビと友達になってもよいだろう。朽ち果てた街を全力で走ってもよいだろう。探しても探しても何も見つからない砂浜で泣き崩れてもよいだろう。目指すは思い出の詰まった母校だ。あそこに行けば、もう一度、あの時に戻れる。何もなかった事に出来るかもしれない。少なくとも、そんなつもりにはなれる。

瑞々しく、豊かな表情で、無邪気に、そして限りなく愛おしい高校生を演じた4名から、しばらく忘れることができないほどの感銘を受けた。何度も何度もこの作品を見続けることになると思う。
Joey

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