2016年、アカデミー賞の主演女優賞、作曲賞、衣装デザイン賞の3部門にノミネートされたナタリー・ポートマン主演の伝記作品。物語はアメリカ史に残るケネディ大統領暗殺事件を題材に、夫の葬儀までの４日間に取った行動を、ファーストレディの視点から綴られた、ジャクリーン・ケネディの内面を描いた人間ドラマ。史実であるので、ジャッキーが着ているピンクのシャネル等のデザインや、色彩に手を加えていないだろうが、背景との組み合わせや色合いが抜群に美しく、再現度が素晴らしい。冒頭から流れる、不協和音としか言えない弦楽器による重いBGMは印象的で、クローズアップを多用して、人物の表情の変化でストーリーを語っていく演出は実に見事。
事件が起こった後、過去の人として葬ろうとする周囲の人々に対し、毅然と夫の存在を人々の心に残そうと奔走する姿。
突然の悲劇に立ち向かうためにそうしていかざるを得ないという女の弱さ。
この微妙な心の変化を演じるナタリー・ポートマンの表情はさすがで、本当に素晴らしい。
歴史上の大事件がおきた後、一人の女性のたった4日間を凝縮させた物語を映画化していることに、アメリカの凄さを感じてしまう（安倍昭恵さんでは映画化はできないでしょうね）。今どきの作品と比較すれば、けっして面白いとは言えないし、ナタリー・ポートマンのワンマン映画であるが、非常に行く出来た作品。
