Mariko

バジュランギおじさんと、小さな迷子のMarikoのレビュー・感想・評価

4.3
思い入れ云々とかナシに
純粋に「感動しましたああ!」ってこんなに泣いたの久しぶり。

「あらすじ」自体はかなりベタな浪花節系ストーリー。
ところがこれが、インド・パキスタンの政治的宗教的対立構造と現況を最大限に活かして、かつこの深刻な状況を深刻に見せず、というかユーモアに富んだ表現にすることで素晴らしい作品になっている。

パキスタンの山の中からインド、ニューデリーにやってきた声の出せない女の子が母とはぐれ迷子になってしまったのを、なんとかして家族のもとに届けてあげようとするバカがつくほど正直な、ヒンドゥー教の敬虔な信者であるバジュランギ。
もう、この主演2人の存在感だけでもパラーター3枚は行けるでしょう、
という濃厚さなのだけど次々に現れるいいヤツら(みんな顔が濃い)もなかなかのもので特にリポーター役の人はかなりいい味出してた。

それにしても、社会的知識としてはぼんやり知ってはいたけれど、インドとパキスタンの国境越えがここまでシビアな状況だとは思っていなかったのでまずそのことにショックを受けた。そしてインドとパキスタンだと話してる言葉が同じなので(言語としては異なるけれど文字が違うだけ)成立するストーリーというのも実に上手いなあ、と感心しつつ、あらゆる場面で、これがどの程度のリアリティでどの程度が演出なのか、の匙加減が見当もつかない自分の「この辺事情」の知らなさかげんにもちょっと呆れた。

超絶かわいい女の子シャヒーダー(ジェスチュアだけであそこまでかわいいのは犯罪レベル(笑))は、結局パキスタンのカシミールに程近い山岳地帯の村の出身だったわけだけれど、デリーから移動して、秘密のトンネルを超えた国境のある砂漠地帯はどの辺なのか、最後に出てきた、鉄条網で仕切られた川沿いの国境はどこなのか、どのくらいの距離を行きつ戻りつして目的地にたどり着いたのか。概略イラストだけでも良いので、地図で見てみたい。映画パンフにはのってるのかな。

そして、ヒンディがわかったらさぞかし面白いし感動もひとしおなのだろう、と、皆目わからない言語の映画を観るたびに浮かぶ感想。
Mariko

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