Tはっちょう

ケンとカズのTはっちょうのネタバレレビュー・内容・結末

ケンとカズ(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

久々に見直す

サブスクにないし

「顔の映画」
全員のクローズアップが良すぎる
顔と顔の対峙

暴力映画の新鋭。
編集がうますぎて暴力が痛いんだけど、生々しくはない。
北野映画的な無機質もなく、乱暴でありつつスリムに見える。今っぽい感覚か。

脚本と編集も上手い

ヤクザのリアリティ。組らしくない。日常生活のすぐそこにいる感。それが新しいんだろうな。
サウナがアジトなのも良き。
車の整備工場でのマネーロンダリングも。

一度踏み込んでしまった世界
おもろいのは、ケンが誘ったんだなってところ。この世界に。カズは命令する側にいたいメンタリズムなのも興味深い。
ケンが誘ったのにカズの方がノリノリでよ。

犠牲になるのは女性

ケンの奥さんの「80万てなに?」っていうカマの掛け方が素晴らしい。あるある、こういうの。

藤原季節さんの歯が取れるところとかユーモア全開

暴力の振り子ってのはもちろんあるんだけど。
優しさと意味が乗っかってる。
その優しさが怖い。親分のなんかヘラヘラしてる感じとかめちゃくちゃ怖いもんな。マジになる途端にさ!

辰巳の後藤さんもそうだったけど、根が優しい人間が暴力を振るうときに「誰かがいるから」という状況が多い。「止めてくれる人」がいるから。だから、本当に相手を殺めたりしようとするより、自分の意思を示すための暴力であるという描写が出てくる。
サシでの暴力というのがない。

冒頭で藤原季節さんが無理矢理やられそうになった時の「お前もやれよ」みたいなくだりが皮肉にも最後登場する。暴力の構造が破壊されずに残ったままで。何をしようとしても抜け出せない。抜け出そうとすれば殺される。

いくつもの傷を抱えてるカズ!だが彼は、だからこそというべきか抜け出すことができない。怖い思いをしたから抜け出すのではなく、したからこそそこが世界だと思ってしまう。暴力の中毒者

引きではなく、寄りの映画。
チープな誤魔化しに見えてしまうこともある中で、どのカットもカッコ良い。
暴力の品がある。陰湿でもない。