TaiRa

天罰のTaiRaのレビュー・感想・評価

天罰(1920年製作の映画)
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医療ミスで両脚を切断された子供が数十年後、グレて暗黒街のボスになっちゃう話。

医師が医療ミスを隠蔽する冒頭を見て、こんなタイトルだから、脚を失ったロン・チェイニーが医師に復讐する話かと思った。筋の大部分はそれに向けた話なのだが、最終的に「天罰」が下される人物が主人公で不憫すぎる。悪人だけど。ロン・チェイニーの脚なし演技が全編に渡って凄いし、本当に脚のない人に見える。世界の全てを恨んで育った人間の面構えをロン・チェイニーが体現していて流石。ゴシック彫刻そのものみたいな顔面。潜入捜査官の女がチェイニーに同情しちゃう展開とか、医師の娘がチェイニーを彫刻のモデルにして接近しちゃう展開とか、色々同時進行するけど最後の方で一気に有耶無耶になった。オチがアクロバティックでビックリしたし、結局チェイニーが可哀想。ピアノがちゃんと弾ける時の感動とか良かった。強制労働させてる女たちに大量の帽子作らせてる理由が謎として提示されるのに、判明した使い道が大して重要じゃないのもヤバい。作り雑でもあんなに怒る必要ないやん。チェイニーの手下の病的なジョン・ウォーターズみたいな殺人鬼がキモくて良い。チェイニーも手下もジョーカーみたいな悪役顔。イイ話にしようとしてならなかった珍品だった。
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