フィルマークスでは評価高くないし興行的にも散々だったらしいけど、非常に見応えある。
ヒッチコックが映画化した『レベッカ』と同じ原作者繋がりで鑑賞。
『ファントム・スレッド』の一部元ネタのようでなるほど。
最近、レイチェル・ワイズの映画をよく見る。『ブラック・ウィドウ』『女王陛下のお気に入り』の方が悪辣で魅力的な感じがした。
映像がどこを切り取っても綺麗で素晴らしい。日本の映画でここまでさり気なく美しいカットを繋いでいく映画が無いのなんでだろ? 予算の問題なのか、技術や人材が足りないのか。
主人公はマザコンを拗らせちゃったお人好し。でもわかるよ。レイチェル・ワイズだもん。旦那さんのダニエル・クレイグとお似合いすぎる。
この原作をヒッチコックが映画化してたら、『サイコ』とか『見知らぬ乗客』みたいなサイコパス映画が誕生してたのに!と夢想。きっと『断崖』みたいなサスペンスに仕上がったのではないだろうか。
レイチェルの言動全てが本音とも演技とも受け取れて、解釈の仕方が観る人それぞれに開かれてる。
純粋に夫を愛した清らかな女性とも解釈できるし、遺産目的で夫を毒殺し、幼稚な主人公を罠にはめようと、清廉潔白な未亡人を演じている悪女にも見える。だとしたら超怖い女。
ところどころ、主人公の女性蔑視的な言動を見せて、それに反発するレイチェルは『レベッカ』にも通じる原作者の主張と受け取れる。
当時、女性に遺産相続の権利が認められていなかった背景を知ると、女性の境遇が魔女だの悪女だのアバズレだの、後ろ指指されていた悲惨な時代がうかがい知れる。