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チリの闘いのkamのネタバレレビュー・内容・結末

チリの闘い(1978年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

すごい映画。というより編集、演出に優れた映像資料か。いや、やはり作者の意図がしっかり読み取れるあたりは素晴らしい映画だろう。

資本主義を全身で浴びている日本人にとって、社会主義、そして共産主義は、失敗した過去の産物であり、到底不可能な、二項対立で言えば悪。

公平な選挙で選ばれた唯一の社会主義政権と言われるチリのアジェンデ政権。支持者、ブルカラーの声、風体。そして批判者、つまり資本主義者、ホワイトカラーのそれは、違いが鮮明で、果たしてどちらが国として正しいのか。。

欧米の資本主義、経済最優先。社会主義を敵とする。従わないものは経済的、軍事的ねじ伏せる。世界に不幸を振り撒いていたことが、よくよくわかる。そして今も変わっていないんだと思う。

三部作第三部は、マルクス主義の理想の様な、労働者階級による労働者による組織を作り出そうという活動の広がりを捉えている。なにか理想の様な、でも冷静に考えると不可能な様な。

欧米、そして日本の様な経済大国は、発展途上国を搾取することで成り立ってきた。だが、世界全体が裕福になってきた中、このまま突き進めるわけはない。これから世界がどうなっていくのか、、と不安になった。

日本の様な国に生きているからこそ、価値観を揺さぶられる素晴らしい映画。
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